今回は7月13日と14日に「ブルーノート東京」に出演。われわれ日本のファンは、ドン・ウォズとジョシュア・レッドマンの共同プロデュースによるメジャー・デビュー・アルバム『ディアヴォラ』の国内リリースからわずか2か月後という、実にホットな状況でのライヴを満喫できることになる。

Gabrielle Cavassa - Diavola

ガブリエル・カヴァッサ ディアヴォラ

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「日本は私が最も好きな国のひとつです。音楽だけではなく、人と人との関係にも敬意を感じます。先日発売された『ディアヴォラ』からの楽曲を中心にお届けすることになると思いますが、このアルバムに関しては、自分でも驚くほど、多くの国の多くの方に届いていることを実感しています」

5月にはニューヨークのタイムズスクエア近辺にある「バードランド・シアター」に初登場。全セット、ソールド・アウトの快挙も成した。

「私にとっては“ジャズ・ヴォーカルの会場と言えばここ”というぐらい、アイコニックな会場で歌うことができて、全6回のショウがすべてソールド・アウトで・・・・夢が叶った気分でした。しかも、初日がアルバムのリリース日だったので、エキサイティングな気持ちがさらに高まったことを覚えています」

来たるブルーノート東京公演も「バードランド・シアター」同様、ギター~ベース~ドラムスのバックで行われる。ベーシストでソングライターのレックス・ワルシャフスキーはガブリエルのサウンドの陰の立役者と言える存在で、昨年の初来日ソロ公演にも同行した。

「レックスとは10年ほど前、ニューオーリンズで知り合いました。当時の私は毎週ジャム・セッションを開催していて、彼はそこの常連だったんです。自分の人生にはいろんな変化がありましたが、彼はその間も含めて、常に音楽上のコラボレーターでいてくれています。ベーシストとしてのレックスは、とてもシンプルでストレートなグルーヴを出すいっぽうで、音楽の流れによってはどこまでも即興的にプレイできる一面も持っています。ソリッドであるということと、フロウできるということという、バランスを取るのが難しい両面に、彼はポジティブなエネルギーを持って取り組んでいます」

ギタリストのガブリエル(ゲイブ)・シュナイダー、ドラマーのピーター・ヴァーナード(ドラムス)との来日は今回が初めてとなる。SNSにアップされている動画群を見ると、ふたりとも大変な凄腕。彼らがどうガブリエル・カヴァッサと音楽を作り上げていくのかも、7月公演の焦点のひとつとなりそうだ。

「レックス同様、ピーターと私の交流も長いですね。彼はニューオーリンズの“ドラムマジック”を醸し出せると共に、モダンでクリエイティヴなこともできるドラマーです。今の彼は一種のインスタグラム・スターにもなってしまって、とにかく大変な勢いです。ゲイブと知り合ったのは最近ですが、とにかく彼のプレイは新鮮であり、かと思えば熟成されたところも持っていますね。彼はお母さんが日本人ですし、今回、日本を訪れるのを本当に楽しみにしています。このバンドを地球の要素に例えるとすれば、レックスがどっしりした地面、ゲイブは軽やかな風、ピーターが火、私は水でしょうか。ヴァーチュオーシティ(virtuosity)を持つメンバーと活動を共にできることは、とても光栄です」

カリフォルニア州に生まれ、サンフランシスコ州立大学で音楽学士号を取得したガブリエルは、2017年に拠点をニューオーリンズに移した。私は一度だけ同地を訪れたことがあるが、湿気いっぱいの気候の中、ドアを全開にしたクラブやパブから溢れ出る音楽が通路で混ざり合い、なんというか、音の塊に包まれているような気分を味わったものだ。ガブリエルはニューオーリンズのどこに惹かれたのだろう?

「最初は休暇で訪れたのですが、来て一時間で“引っ越すべきだな”と思いました。それほど直感的に、マジックのようなものを感じさせてくれた土地がニューオーリンズなんです。今では自分の故郷になってしまったようなところもありますね。音楽に関しては“独特な何かがある”というしかないものがあって、人々があたたかくて寛容で親切で、何かを他人と競おうというよりは、大きな愛に溢れたコミュニティを形成することを大切にしている感じです」

アルバム『ディアヴォラ』については、すでにかなりの数の取材記事が紹介されていることと思う。そこで本稿では二つの話題に絞った。ひとつめは、レックスと合作した圧巻のオリジナル・ナンバー「ディアヴォラ」、そしてふたつめは、サックス奏者として参加するとともに共同プロデューサーも務めたジョシュア・レッドマン(10月に自身のカルテットで来日予定)の印象。以上をガブリエルに尋ねてみた。

「ディアヴォラというキャラクターは曲を書く前から自分の中にありました。自分にとっての別人格、アルター・アイコンですね。ディアヴォラには勇敢な、“他人から何を言われようと構うことなく、怒りも含めてすべてを率直に表現する”というところがあって、曲の中でディアヴォラは最終的に暴力的なほど過激になっていきます。もちろん本来の自分がそうなることはありませんが(笑)、悪役キャラクターみたいなものに託した空想というかファンタジーを最大限の形で描きたいと思って書き始めたのがこの曲でした。書いているうちに、それほど嫌われない、もうちょっと優しさを見せているキャラクターにしたらいいのかとも思いましたが、そこはなるべく抑えて・・・。これまで、これほど時間をかけて書いた曲はなかったですね。普通だったら完成に至らずあきらめていたかもしれないところですが、今回のアルバムには「ディアヴォラ」のような歌が必要だと感じました。

ジョシュアについては・・・自分がバンドリーダーとしてツアーに出るようになったことで、彼から教わったこと、学んだことをより強く実感しています。彼は、とにかく相手のことをよく知ろう、尊重しようという考えの持ち主です。レコード・プロデューサーとしてもそれは同様で、どんな些細な、何かひとつのことを決めるにしても、私たちは必ずお互いに話し合って進めていきました。そこがとてもありがたかったですね。私はジョシュアのアルバムにも参加しているので(『ホエア・アー・ウィー』、『ワーズ・フォール・ショート』)、彼が彼自身のアルバムのプロデュースをする現場にも立ち会いました。メンバーやスタジオの選択、曲順、ミキシング、マスタリング、すべてのプロセスに注意深く、真剣に取り組んでいて、経験を積んだ彼がプロデュースを手掛けてくれたことは、私にとって大きな助けになりました」

メジャー・デビュー以降、学ぶことがますます増えていると語るガブリエル。「日本の皆さんに会えるのが心から楽しみ」という彼女は、次のような言葉でインタビューを締めくくった。

「本当に何もないところから一つの世界を作り出して、アルバムをリリースして、ツアーに行ける。そのこと自体がありがたいし、嬉しいです。この仕事を始めてから毎日が新しい展開というか、新しい出会いが常にある中にいて、まるで夢を生きているんじゃないかと思うこともあります。自分に限らずバンドも含めて、もしくはオーディエンスも含めた上で、何が一番いいものかということについても、今後さらにわかっていくことでしょうし、“どういう方向に行くのか自分でもわからない”といったある種の緊張、挑戦みたいなものも持ち続けたいですね。確実に言えるのは、今の私がとてもエキサイティングだということです」

    

【来日公演概要】

GABRIELLE CAVASSA

ガブリエル・カヴァッサ

2026 7.13 mon., 7.14 tue. at ブルーノート東京

[1st]Open5:00pm Start6:00pm [2nd]Open7:45pm Start8:30pm

メンバー:

ガブリエル・カヴァッサ(vo)

ゲイブ・シュナイダー(g)

レックス・ワルシャフスキー(b)

ピーター・バーナード(ds)

詳細:https://www.bluenote.co.jp/jp/artists/gabrielle-cavassa/

■ガブリエル・カヴァッサ プロフィール

1994年カリフォルニア州生まれ。幼い頃から音楽に親しみ、独学でジャズ・ヴォーカルを学ぶ。サンフランシスコ州立大学で音楽学士号を取得。その後ニューオーリンズに拠点を移して活動し、2020年に初のアルバム『Gabrielle Cavassa』を自主制作でリリース。2021年にはサラ・ヴォーン国際ジャズ・ヴォーカル・コンクールで優勝。その才能をいち早く見抜いたジョシュア・レッドマンが自身のアルバム『ホエア・アー・ウィー』(2023)でヴォーカリストとして抜擢し、大きな話題を呼んだ。2024年に名門ブルーノートと契約。2026年に待望のメジャー・デビュー作『ディアヴォラ』をリリースする。ナチュラルな歌声の中にも圧倒的な表現力を持つスタイルは近年のヴォーカリストの中でも類を見ないもので、ジャズ界の新星として一躍注目を集めている。

“ガブリエルの歌声を聴くことは、まるで彼女が耳元で秘密を囁いてくれているような体験だ。彼女の物語に込められた誠実さは息をのむほどで、今後の音楽シーンにとって重要な存在になるだろう” – ドン・ウォズ

“深みと豊かさを持ちながらも、儚い歌声を持つ若きシンガー…間違いなく将来有望なスターだ” – ダウンビート

    

■リリース情報

Gabrielle Cavassa - Diavola

ガブリエル・カヴァッサ ディアヴォラ

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ガブリエル・カヴァッサ AL『ディアヴォラ』
2026年5月1日リリース UCCQ-1229 SHM-CD ¥3,300 (tax in)

収録曲:
01. ヘヴン・サイズ
Heaven Sighs (Jeff Parker)
02. 雨にぬれても
Raindrops Keep Falling On My Head (Burt Bacharach, Hal David)
03. プリズナー・オブ・ラヴ
Prisoner Of Love (Clarence Gaskill, Russ Columbo, Leo Robin)
04. ボシー・ノヴァ
Bossy Nova (Gabrielle Cavassa)
05. トゥ・セイ・グッバイ
To Say Goodbye (Lani Hall, Edu Lobo, Torquato Pereirade, Araujo Neto)
06. アンジェロ
Angelo (Luigi Tenco)
07. ビー・マイ・ラヴ
By My Love (Nikolaus Brodszky, Sammy Cahn)
08. ディアヴォラ
Diavola (Gabrielle Cavassa, Alexander Warshawsky)
09. クッド・イット・ビー・マジック
Could It Be Magic (Barry Manilow, Adrienne Anderson)
10. 別れの夜
La notte dell’addio (Alberto Testa, Arrigo Amadesi, Memo Remigi, Giuseppe Diverio)

パーソネル:ガブリエル・カヴァッサ(vo, ag on #4)、ジェフ・パーカー(eg)、ラリー・グレナディア(b)、ブライアン・ブレイド(ds)、ジョシュア・レッドマン(ts on #2, 9)、ポール・コーニッシュ(p on #8, 9, 10)
プロデュース:ドン・ウォズ、ジョシュア・レッドマン

★ドリームランド・レコーディング・スタジオにて録音