現代ピアノの詩人、フレッド・ハーシュが、パット・メセニーをはじめ、ビル・フリゼール、ジュリアン・ラージ、ジョン・スコフィールドなどが師と仰ぐ今は亡き名ギタリスト、ミック・グッドリックとの1988年のデュオ作品をECMから6月19日にリリースすることが決定し、先行トラック「フィーブルズ、フェイブルズ・アンド・ファーンズ」の配信がスタートした。
「フィーブルズ、フェイブルズ・アンド・ファーンズ」
本作は、当時ボストンを拠点に活動していた巨匠ミック・グッドリックとフレッド・ハーシュという二人の稀有な共演を捉えた作品であり、1988年8月にニューヨークのハーシュのスタジオで録音された。約40年を経てこのセッションを振り返り、ハーシュは「私にとってのハイライトは、何と言ってもアンサンブルのレベルの高さだ。私たち二人の間には、深く互いに耳を傾け合う姿勢が随所に感じられた」と語っている。この充実したプログラム全体を通して、両ミュージシャンの音楽言語に対する広範な理解と、それぞれの楽器における表現力が際立っている。
「ミックはかなり謙虚な人だった。そして、彼の録音作品はあまり知られていない」とフレッドは回想する。「私は彼を『ギターの囁き手』と呼んでいる。彼は教えることや、裏方に徹することに大きな満足を見出していた。それが彼なりのやり方だった。私のレコーディング・スタジオの全盛期、およそ1983年から88年にかけて、私は彼に『ニューヨークに来て、デュエットを録音しよう』と誘った。彼はニューヨークに来て、私たちはこのデュオ作品を制作したが、それはその場で自然にうまくいったんだ」
グッドリックは生涯を通じて、特に多作な作曲家でもなければ、多くのレコーディングを行ったわけでもなかった。そのため、彼のディスコグラフィーに名を連ねる各作品は、彼の芸術性を垣間見ることのできる貴重な窓となっている。そして本作では、リオーネル・ルエケからウォルフガング・ムースピール、ジュリアン・ラージに至るまで、あらゆる音楽家に影響を与えた彼のギター即興演奏に対する先駆的なアプローチが余すところなく披露されている。グッドリックの教え子であるラージは、このギタリストについて「注意深く耳を傾けて問題を解きほぐし、そこから有機的で、しばしば驚くべき解決策を提示するという、並外れた手法を持っていた」と語っている。
ハーシュとグッドリックの親密な対話は、両者が即興演奏の第一人者として名声を博してきた所以を如実に物語っている。ピアニストとギタリストによる既知の楽曲が凝縮された形で登場し、グッドリックがアルバム・タイトルにもした「フィーブルズ、フェイブルズ・アンド・ファーンズ」(1979年にECMからリリースされた『In Pas(s)ing』で録音されたトラック)は、二人が即興の中で互いに紡ぎ出す、遊び心あふれる絡み合う旋律を鮮明に垣間見せてくれる。
ハーシュの「ハートソング」は、ピアニストのオリジナル曲の中でもおそらく最も和声的に魅力的な作品の一つであり、テーマが2つの楽器の間をシームレスに行き来する、このセットの叙情的なクライマックスとなっている。「何年か前の自分の演奏を振り返るのは、実に興味深いものです」とハーシュは語る。「今の自分の演奏にもまだ共通する点はたくさんありますが、変わってしまった部分も多く、今改めてそれらを再発見するのは楽しいですね」
オリジナル曲に加え、スティーヴ・スワロウの2曲(「フォーリング・グレイス」と「アメイジング」)、ジョニー・グリーンの「アウト・オブ・ノーホエア」、マル・ウォルドロンによる「ソウル・アイズ」、そして「ファイヴ・エクスカーションズ」で次々と繰り広げられる即興の組曲も、インスピレーションに満ちた演奏で披露されている。
「美しく、親密で、静かな瞬間もあるけれど、それでもエネルギーは溢れている。そして、飾り気のない、無駄のない、ただ真っ直ぐに突き進み、そのまま録音したようなその音には、とてもロマンチックな何かがある。僕たちは本当に相性が良かったんだ…」とフレッド・ハーシュが振り返っている、ジャズ・ファン注目の作品といえそうだ。
■作品情報
『フィーブルズ、フェイブルズ・アンド・ファーンズ』
2026年6月19日世界同時発売
UCCE-1221
ミック・グッドリック & フレッド・ハーシュ フィーブルズ、フェイブルズ・アンド・ファーンズ
Available to purchase from our US store.収録曲:
1. フィーブルズ、フェイブルズ・アンド・ファーンズ / Feebles, Fables and Ferns
2. フォーリング・グレイス / Falling Grace
3. アウェイ 10 / アメイジング / Away 10 / Amazing
4. ファイヴ・エクスカーションズ Five Excursions
5. アウト・オブ・ノーホエア / Out of Nowhere
6. ハートソング /Heartsong
7. ソウル・アイズ / Soul Eyes
〈パーソネル〉
ミック・グッドリック(p) フレッド・ハーシュ(p)
★1988年8月、ニューヨーク、クラシック・サウンド・スタジオにて録音
ヘッダー画像:
Mick Goodrick © Private collection / ECM Records Fred Hersch © David Bartolomi / ECM Records
