ジョン・コルトレーン生誕100周年という、これほど歴史的な節目をどのように讃えるべきだろうか。サックス奏者ブランフォード・マルサリスは、この問いを自らに投げかけることになった。ブルーノート・レコードから、今年9月に生誕100年を迎える伝説的テナー・サックス奏者にして革新者、ジョン・コルトレーンへのトリビュート作品の制作を依頼されたからである。

ブランフォード・マルサリス・カルテット 写真:シャービン・ライネス ©ブルーノート・レコード
ブランフォード・マルサリス・カルテット 写真:シャービン・ライネス ©ブルーノート・レコード

マルサリスがこの大役に選ばれたのは、ごく自然な流れだった。2001年にはアルバム『Footsteps Of Our Father』で、コルトレーンの不朽の組曲「至上の愛」全4楽章を、深い敬意と誠実さをもって録音している。さらに近年では、ピアニストのジョーイ・カルデラッツォ、ベーシストのエリック・レヴィス、ドラマーのジャスティン・フォークナーから成るカルテットと共に、2025年のブルーノート作品『ビロンギング』を発表。キース・ジャレットが1974年に発表した同名アルバムを、探究心に満ちた濃密な解釈で再構築し、過去の名作に新たな命を吹き込む手腕を改めて証明した。

Branford Marsalis Quartet Belonging

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「私は、あまり人が歩まない道を選びたかったんだ」と彼は語る。

リーダーとしてブルーノートに吹き込む2作目となる『デディケイテッド・トゥ・ユー』で、マルサリスは自身の精力的なカルテットにボーカリストのダイアン・リーヴスを迎え、1963年にコルトレーンが歌手ジョニー・ハートマンと共演したアルバム『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』を新たな形で蘇らせている。


コルトレーンのディスコグラフィにおいて、このオリジナル・アルバムは実に興味深い位置を占めている。その理由は、彼がリーダー名義でボーカリストと録音した唯一の作品だからというだけではない。1960年代初頭、コルトレーンはすでに、多くの聴き手にはまだ受け入れがたい新たなサウンドを切り拓いていた。とりわけ有名なのが、1961年11月号のダウンビート誌に掲載された評論家ジョン・タイナンによる酷評である。コルトレーンのカルテットに、異才のリード奏者エリック・ドルフィーを加えたライヴ演奏を、彼は「アンチ・ジャズ」とまで言い切り、切り捨てた。

エリック・ドルフィー、『ザ・ジャズ・レビュー』、1960年6月号 写真:ウィキメディア・コモンズ


その後に語り継がれるところによれば、インパルス・レコードのプロデューサー、ボブ・シールは、コルトレーンがこのままでは大衆から距離を置かれてしまうことを危惧し、より穏やかな雰囲気の作品を提案したという。それは当時のコルトレーン自身が本当に目指していた方向ではなかったかもしれない。しかし、この発想から1963年、インパルスにとって揺るぎない名盤となる2作『バラード』と『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』が誕生したのである。


1963年3月7日、わずか3時間のセッションで録音された『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』では、ピアニストのマッコイ・タイナー、ベーシストのジミー・ギャリソン、ドラマーのエルヴィン・ジョーンズから成るコルトレーン・カルテットが、それまでの火花を散らすような熱演をあえて抑え、ジョニー・ハートマンの滑らかなバリトン・ボイスに寄り添う伴奏へと徹している。演奏されたのは、ビリー・ストレイホーンの「ラッシュ・ライフ」やアーヴィング・バーリンの「ゼイ・セイ・イッツ・ワンダフル」をはじめとする、グレイト・アメリカン・ソングブックを彩る6曲のスタンダードや愛唱曲であった。この作品は現在、史上最高のボーカル・ジャズ・アルバムのひとつと広く評価されている。一音一音、一つ一つの身振りまでもが楽曲そのものに奉仕するために捧げられた、息を呑むほど抑制の効いた表現、繊細さ、そして深い情感に満ちた豪奢な名演集である。そして何より、コルトレーンとハートマンは、音色とフレージングにおいて驚くほど息の合った融合を成し遂げている。

『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』1963年3月7日、3時間にわたるセッションで録音。写真:インパルス!レコード


21世紀におけるこのトリビュート作品のために、マルサリスが白羽の矢を立てたのが、グラミー賞受賞シンガーのダイアン・リーヴスだった。「音の中には、私たちが“あれ”と呼ぶ魔法のような響きがある。そしてダイアンは、その“あれ”を持っているんだ」とマルサリスは語る。「彼女はいろいろな歌手を聴いてきた人で、それが私にはとても魅力的なんだ。そして彼女は、何を歌っても、そこに豊かな感情を吹き込んでくれる」リーヴスもまた、この挑戦を心から歓迎した。「私は若い頃、多くの偉大なシンガーたちを聴きながら育ちました。そして彼らから学んだのは、彼らはバンドの前に立つのではなく、バンドの中に立っていたということです」とリーヴスは語る。「彼らは、自分自身をサウンドをともに創り上げる共同制作者だと考えていたのです」

ブランフォード・マルサリスとダイアン・リーブス 写真:シャービン・ライネス ©ブルーノート・レコード


「ブランフォードのカルテットのメンバーと私は、みんな同じ音楽言語を話しています。そして、それぞれがアイデアを持ち寄りました」その言葉どおり、『デディケイテッド・トゥ・ユー』は、5人による真のコラボレーション作品として響いてくる。リーヴスは楽曲にゆったりとした気品と深い存在感をもたらし、その歌声はカルテットに対して、一音一音に研ぎ澄まされた集中力と緻密なインタープレイを促している。そして、コルトレーンほど鋭利ではなく、より温かみを帯びたマルサリスのテナー・サックスの音色は、彼女の歌声を引き立てる理想的な対照となっている。


『デディケイテッド・トゥ・ユー』は、オリジナル作品をただ忠実になぞるだけのアルバムではない。そこには、さりげなく遊び心を交えた再解釈も織り込まれている。「オリジナル盤には一貫した構成があった。ピアノ・イントロがあって、ボーカルの後で倍テンポになり、最後はアルペジオで締めくくられるという構成だ」とマルサリスは説明する。「でも私たちは、曲を決まった型にはめ込みたくなかった。まず全員で演奏して、それから何を加えるべきか、あるいは何を削るべきかを話し合ったんだ」


「ラッシュ・ライフ」では、リーヴスの最初の歌声が、サックスとピアノだけの夢のような幻想曲へと移り変わり、失恋による深夜の孤独というこの曲のムードを完璧に捉えている。「マイ・ワン・アンド・オンリー・ラヴ」はヴォーカルとピアノによるデュエットで、リーヴスは傷つきやすさを感じさせつつも毅然とした歌声を響かせ、カルデラッツォの憂いを帯びたロマンティシズムがそれを支えている。どの曲においても、アレンジは1963年のセッションでコルトレーンが示した、曲そのものに深く溶け込むような感覚を追求している。「彼は演奏する曲に共感していた。それが私たちの目標だ」とマルサリスは語る。


アルバムには、『ジョン・コルトレーン・アンド・ジョニー・ハートマン』に収録されていた6曲のボーカル作品に加え、ほぼ同時期に書かれたコルトレーンのインストゥルメンタル6曲も織り交ぜられている。1962年に初録音された「ビッグ・ニック」は、トリオ版とカルテット版の2つのアレンジで収録されている。マルサリスはソプラノ・サックスへ持ち替え、シドニー・ベシェを思わせる情感豊かなベンド奏法と、コルトレーンの代名詞である「シーツ・オブ・サウンド」を彷彿とさせる高速フレーズを自在に行き来しながら、堂々とした足取りで曲を歩ませていく。『コルトレーンズ・サウンド』(1964年)収録の「セントラル・パーク・ウェスト」は、美しく抑制の効いた瞑想的な演奏となっている。一方、「26-2」(『コルトレーンズ・サウンド』と同じセッションで最初に録音された楽曲)は、喜びに満ちたハード・スウィングで疾走し、マルサリスのテナーは豊かな響きを放ち、バンド全体も思う存分に熱演する歓びを味わっている。

「ジョン・コルトレーンは、その天才性によって、1940年代のスウィング、初期R&B、そしてポスト・バップという異なる音楽的要素を、音響面でも知性の面でも並行して深く理解し、それらを融合させた。その結果生まれたサウンドは、知的な挑戦を聴き手に促しながらも、同時に感情を強く揺さぶるものなんだ」とマルサリスは語る。「こうした音楽のあらゆる側面を体現していたことこそ、どんなジャンルのミュージシャンであっても目指すべき姿だと思う。私たちにとって、彼のジャズへの貢献に敬意を表することは大きな名誉だった。そして、彼が抱いていた理想に少しでも応えられていればと願っているよ」ヘッダー画像:ブランフォード・マーサリス&ダイアン・リーブス|写真:シャービン・ライネス ©ブルーノート・レコード


ダニエル・スパイサーはブライトンを拠点とする作家、放送関係者、詩人。『The Wire』、『Jazzwise』、『Songlines』、『The Quietus』などに寄稿している。ドイツのフリージャズ界の伝説的存在であるピーター・ブロッツマンや、トルコのサイケデリック・ミュージックに関する著書がある。