ゴスペル音楽とは、ブラック・アメリカンのキリスト教徒による魂の叫びである。故郷から引き裂かれ、奴隷として生きることを強いられた人々の間に生まれ、教会に響くあらゆる叫び声、掛け声、うめき声のひとつひとつにその本質が表れている。ゴスペルは、生き延びること、痛み、そして希望を体現する音楽であり、魂を高揚させ、聴く者に活力を与え、励ましをもたらす手段である。多くの人々にとって、ゴスペルは単なる音楽ジャンルではない。その表現力豊かな礼拝は共同体の歩みを映し出し、忍耐と持続のメッセージを伝える。生存を肯定し、迷える者を故郷へ呼び戻す檄文のような存在である。時を経て、この深い根を持つ礼拝音楽は教会の奥深くから主流文化へと広がり、数多くの音楽ジャンルに影響を与えてきた。

一見すると意外な組み合わせに思えるゴスペルとジャズだが、その関係は極めて深く、そして持続的である。ジャズは、その多様な形態のいずれにおいても、ゴスペルの影響なしには今日知られる姿で存在しえなかった。ブラック・チャーチは長らく音楽家たちの揺り籠であり、演奏し、試み、即興的に応答する場であった。牧師の呼びかけ、合唱隊の要求、あるいは教会賛歌のすべてに精通し、同時に自由な即興性を期待される客演歌手への対応、そうした瞬間的な反応が求められる場所である。教会という保守的な枠組みの内部で、多くの音楽家が逆説的に音楽的自由を見出してきたのである。

このクロスオーバーは、少なくとも1950年代初頭、あるいはそれ以前にまで遡る。ギタリストのシスター・ロゼッタ・サープは、一部の教会指導者からの強い反発にもかかわらず、聖と俗の間を自在に行き来した人物であった。また、ジャズ史における最も偉大なピアニスト、作曲家、編曲家のひとりであるメアリー・ルー・ウィリアムスは、カトリックへの改宗を機に一時ジャズから距離を置いたものの、ディジー・ガレスピーを含む聖職者や信仰仲間から、自身の使命はピアノにあると諭され、再び音楽の道へと戻った。1964年のアルバム『The Black Christ of the Andes』は、精神的意図と超絶的な技巧を融合させたジャズ=ゴスペルの金字塔として今なお評価が高い。同作に収められたガーシュウィン作「It Ain’t Necessarily So」の解釈や、歓喜に満ちた「Praise Be」は、神学とスウィングを等価に響かせる名演である。

シスター・ロゼット・サープ
1964年のヘルシンキ・ジャズ・フェスティバルでのロゼッタ・サープ姉妹。写真:Kalervo Manninen、JOKA Press Photo Archive、フィンランド遺産庁。
ディジー・ガレスピー、タッド・ダメロン、メアリー・ルー・ウィリアムズ、ジャック・ティーガーデン(ウィリアム・P・ゴットリーブ著)。
左から右へ:ディジー・ガレスピー、タッド・ダメロン、メアリー・ルー・ウィリアムズ、ジャック・ティーガーデン。ニューヨーク州ニューヨーク市メアリー・ルー・ウィリアムズのアパートにて。1947年8月頃。写真:ウィリアム・P・ゴットリーブ / 米国議会図書館。

デューク・エリントンは自身のアルバム『聖なるコンサート(Sacred Concert)』を最も重要な作品と位置づけ、サンフランシスコのグレース大聖堂、ニューヨークの聖ヨハネ大聖堂、ロンドンのウェストミンスター寺院など由緒ある聖堂で演奏した。著書『Music Is My Mistress』の中で、エリントンは次のように記している。「それは自らの使命に対する理解が深まるにつれて生まれたものだ…私は自分を、メッセージを人々のもとへ届けようとする“使いの少年”のような存在だと考えているのだ」

デューク・エリントン
デューク・エリントン。写真:バート・カルペラン、JOKAプレス写真アーカイブ、フィンランド文化遺産局。

その後の例としては、ハーレムのアビシニアン・バプティスト教会の200周年を記念して作曲されたウィントン・マルサリスの『Abyssinian Mass』(2008年)が挙げられる。またデイヴ・ブルーベックの『To Hope! A Celebration』(1995年)は、合唱、金管五重奏、オルガン、弦楽のために書かれた宗教的作品である。ベーシストのチャーリー・ヘイデンとピアニストのハンク・ジョーンズによるデュオ・アルバム『Steal Away』(1995年)は、ブラック・スピリチュアルを素材としている。さらに、ピアニストのビリー・テイラーによる宗教組曲『Let Us Make a Joyful Noise to the Lord』(1989年)は、旧約聖書の詩篇第100篇に着想を得た作品である。テイラーはまた、公民権運動のアンセムとして知られる「Wish I Knew How It Feels to Be Free」の作者としても名高く、この曲はニーナ・シモンが歌ったことで広く知られるようになった。近年では、ジョン・バティステがアルバム『ウィー・アー』に収録の「ウィー・アー」や「フリーダム」、そしてアルバム『Social Music』に収録の「Let God Lead」などにおいて、ゴスペル音楽の語彙と響きを積極的に取り込んでいる。

Jon Batiste

ジョン・バティステ ウィー・アー

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2026年には、ジャズとゴスペルの相互作用をさらに深める2枚の新作アルバムが登場する。そのひとつが『Sweet, Sweet Spirit』である。本作は、伝説的ベーシストのロン・カーターと、〈クワイアマスター〉の名でも知られるゴスペル界の重鎮、リッキー・ディラードを結びつけた作品である。2025年11月にシカゴで録音された本作は、カーターの母親、そして彼の幼少期を彩ったア・カペラの賛美歌へのオマージュとして構想された。母親が介護施設に移ることになった後、カーターは、彼女がとりわけ愛していた10曲の賛美歌を、ソロ・ベースのみで録音し、聴かせるために残したという。その個人的な録音が本作の骨子となり、バンドとクワイアのための編成へと再構築されることでアルバム『Sweet, Sweet Spirit』として結実したのである。

この作品は、ブラック・チャーチの礼拝が持つ即時性を鮮やかに捉えている。冒頭曲「Open My Eyes」からして、ハンドクラップと高揚感あふれるクワイアが響き渡り、アルバム全体に集団的なエネルギーが放射される。ロン・カーターは本作を「ジャズとゴスペルのハイブリッド」と呼ぶが、リッキー・ディラードの躍動的なディレクションの元、音楽は希望と忍耐のメッセージを力強く伝える。<向こうでは皆が幸せになる>、<栄光の街路を歩むのだ>といった歌詞は、霊的な慰めをもたらす。さらに<私は再び生きるために生きている……あの場所で>と語る牧師の宣言が余韻を残し、会衆から自由な賛美が立ち上っていく。「Farther Along」におけるジーン・ベイラーの高らかなヴォーカル――〈やがて私たちはより深く理解するだろう〉と歌い上げるその瞬間――は、超越的なクライマックスを形成している。

カーターのベースは全編を支える軸である。前面に出るときもあれば、抑制的に退くときもあるが、常に音楽全体への奉仕に徹している。『Sweet, Sweet Spirit』もまた、80代後半に差し掛かってなお衰えぬ彼の創造的好奇心を証明する作品でもある。これまでもゴスペル的要素を取り入れてきたカーターであるが、幼少期に親しんだゴスペルだけで一枚のアルバムを制作したのは本作が初めてであった。「クワイアのヴォイシングをまったく異なる響きへと導くために、正しいベース音やリズムを見つけられるかどうかを試す機会だった」と彼は語る。ゴスペルは教会の枠を超えて響くものであり、カーターにとっては信仰の実践そのものなのだ。

同様に個人的な信仰が、ヴィブラフォン奏者ジョエル・ロスのアルバム『ゴスペル・ミュージック』を鼓舞している。ブルーノートでのバンドリーダーとして5作目となる本作について、ジョエルはその指針となる信念を「キリストにあって他者の益となる生き方、そうして私たちの生が無駄にならないように」と語る。複雑な作曲で知られる彼が、ここではシカゴのブラック・チャーチの伝統に触発され、信仰と聖書の物語を探求する叙情的な説教を捧げている。「これはおそらく、私の信念を共有する最も大胆な試みであり、私のルーツへのオマージュでもある」と彼は語る。

Joel Ross - Gospel Music

ジョエル・ロス ゴスペル・ミュージック

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ジョエル・ロス。写真:ジャティ・リンゼイ。

これは、いわばクチュール・ゴスペルである。緻密に重ね上げられ、信仰の表明において大胆不敵な音楽だ。アルバムは、ビバップ期を代表するピアニスト、作曲家、教育者であり、サマラ・ジョイをはじめ多くの現代ジャズ音楽家の精神的支柱でもあったバリー・ハリスへのトリビュート曲「Wisdom is Eternal」で幕を開ける。ジョエル・ロスは信仰の探究において一切のためらいを見せない。三位一体の神という概念を、いかに音楽で表現しうるのか。その巨大な問いに真正面から挑むのが、2曲目「Trinity (Father, Son, and Holy Spirit)」である。問いはミュージシャン同士の間で投げ交わされ、対話は時に逡巡し、時に断言的となる。そこにあるのは常に精緻なインタープレイであり、音と同様に「間(スペース)」が重要な意味を持っている。アルバム『ゴスペル・ミュージック』は、悔い改め、贖い、慈悲という主題をたどりながら、人生の旅路における忍耐を促す精神的な行程へと聴き手を導く。その途中、セクステットの器楽的テクスチャーの中から、グレゴリオ聖歌を思わせる形で三つのヴォーカル曲が浮かび上がる。「Praise to You, Lord Jesus Christ」では、ジョエルの妻でありトランペッターのローラ・ビッブスが旋律的マントラを静かに唱え、それがやがて、エケップ・ンクウェルによって歌われるトラディショナル・スピリチュアル「Calvary」の鮮烈な解釈へと溶解していく。

ジャズは本質的に即興の音楽である。しかし、ここで取り上げた2つの新作は、ゴスペル・クワイア、ソロ・ヴォイス、ジャズ・ベース、そしてヴィブラフォンが、いかに自然かつ有機的に絡み合うかを雄弁に示している。両作は、ロン・カーターとジョエル・ロスという2人の芸術的、そして精神的な内面に迫る、稀有な洞察を与えてくれる。最近のエコノミスト誌の記事は、音楽が「より悲観的で、不安に満ちたものになっている」と指摘した。しかし、これらの作品、そして同様の志を持つ多くの音楽は、その見方に明確に異を唱えている。例えそれが個々人の信仰と一致する音楽でなくとも、より良い時代、より明るい日々を希求する全ての人のための音楽である。世界屈指の音楽家たちによって生み出されたこの音楽は、信条の違いを超えて、温もり、高揚、そして希望をもたらすのである。


ジュモケ・ファショラはジャーナリスト、放送関係者、そしてボーカリストであり、現在BBCラジオ3、BBCラジオ4、BBCロンドンで様々な芸術・文化番組を担当している。


ヘッダー画像:ジョエル・ロス(Jati Lindsay撮影)、ロン・カーター&リッキー・ディラード(Paul C. Rivera撮影)。