グラミー賞を複数回受賞し、数百回の国際的なライブ公演をこなすほか、#JazzTokの女王の称号も持つサマラ・ジョイ。30歳未満ながら、彼女が成し遂げていないことはほとんどない。しかしこの夏、このセンセーショナルなシンガーにとって新たな初挑戦が待っていた——BBCプロムスへの初出演だ。サマラは、世界最長の音楽祭であるBBCプロムスで、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。今回は、コンサート前に彼女が応じてくれた私たちとのインタビューの模様をお届けする。

このような象徴的な会場とフェスティバルでコンサートを行うのは、どのような気分ですか? 

ロイヤル・アルバート・ホールでパフォーマンス出来ることにとても興奮しています。このコンサートには、1年ほど前から準備を進めながらレパートリーを選んできました。特に、私のオクテットとオーケストラが初めて共演できることがうれしいです。私は管弦楽が大好きですから。ラヴェルやドビュッシーの音楽をずっと聴いてきたので、素晴らしいBBCコンサートオーケストラのサポートを受けて自分の経験を積むことができて、本番が本当に待ち遠しいです。

サマラ・ジョイ / ポートレイト

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あなたのライヴは『グレート・アメリカン・ソングブック』がテーマです。ジャズ史において非常に重要な作品群ですが、なぜあなたはこれらの曲をこれほど愛しているのでしょうか?

グレート・アメリカン・ソングブックや、過去数年間で集めてきたジャズの曲たちを歌えることに、本当にエキサイトしています。例えば「スターダスト」や「ミスティ」のような曲は、時代を超えて愛され続けるスタンダード曲です。また、セロニアス・モンクやデューク・エリントンが作曲した曲も、ソングブックの発展に大きな影響を与え、進化を促す役割を果たしています。

私は、ソングブックが多くの点でジャズと不可分なものになったと考えています。なぜなら、多くのジャズミュージシャンがそれらの曲を録音し、アレンジし続けた結果、スタンダード曲として定着したからです。例えばチャーリー・パーカーのような人物は、「インディアナ」のような曲を長年演奏した後、 「ドナ・リー」のような曲を書き、ハーモニーを根本から変え、基礎となる変化の上に新しいメロディを乗せ、独自の変化を生み出してきました。またはエラ・フィッツジェラルドのような人物は、ブロードウェイのミュージカルから多くの曲を含む曲集を録音し、ライヴ・パフォーマンスではそれらを完全に再アレンジし、新たな感情を加えることができます。

グレート・アメリカン・ソングブックを聴いたことがない人でも、音楽を通じて語られる物語には共感できると思います。なぜなら、それは時代を超えた普遍的なものだからです。この曲集の中には、現代では歌われないか、歌われるべきではない曲もあるかもしれませんが、現代の愛や人間関係に関する事柄はそれほど変わっていないと感じています。私たちは、恋に落ちたり、愛に浸ったりする際に、同じ問題や落とし穴を抱えているかもしれません。だからこそ、これらの曲は非常に共感できるものだと感じます。



これらの曲に何か違うことを加えないと、自分らしさを出せないと感じますか?

私にとって、曲に何か違うことを加えることは自然とできるもので、音楽のセットを演奏するたびに、人々が一緒に歌っているのを見かけることはほとんどありません。彼らは、私が楽曲を解釈する方法を吸収することに集中していて、それはオリジナルの録音とはとても異なっているからです。そして、私が異なるヴォーカリストであり、多くの異なる音楽に影響を受けているため、必然的に異なるものになるのです。今では、自分の表現に自信を持てるようになったので、好きな曲を聴いた時、それを解釈し、アレンジし、共有し、自分流に表現して、再び新鮮な感覚にできることが嬉しいです。

samara joy - linger awhile - album cover

サマラ・ジョイ リンガー・アワイル

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これらの曲には、世代を越えた素晴らしい歌手たちによる数多くの素晴らしいバージョンが存在します。あなたのお気に入りの曲は何かありますか? 


グレート・アメリカン・ソングブックから私のお気に入りの曲としては、「マイ・アイディアル」、サラ・ヴォーンの「ステアウェイ・トゥ・ザ・スターズ」のバージョン、そしてエラ・フィッツジェラルドの「魅惑されて」のバージョンが挙げられます。これらの曲には多くの素晴らしいインストゥルメンタル・バージョンがあり、私のお気に入りの一つはケニー・ドーハムの「オールド・フォークス」のバージョンと、フレディ・ハバードの「ウィーヴァー・オブ・ドリームス」のバージョンです。



これはかなり華やかなイベントになりそうです。衣装は決まりましたか? 

はい、衣装は決めたので、皆さんと共有するのが待ち遠しいです! 


フレヤ・ヘリアーはEverything Jazzのコンテンツ・エディター。長年にわたり、BBCラジオ3、ラジオ4などであらゆるジャンルの音楽番組を制作してきている。


ヘッダー画像:サマラ・ジョイ。Photo: AB+DM.