涼やかなボサ・ノヴァからダンサブルなポップスまで、夏を彩るサウンドトラックは様々だ。夏をテーマにした楽曲も毎年数多くリリースされるが、今年はジャズにとっても注目のトラックが目白押しとなっている。今回は今年リリースされた楽曲の中から、この夏にぴったりな”夏ジャズ”を4曲紹介しよう。

夏ジャズBGM

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■ノラ・ジョーンズ&ジョン・レジェンド / サマータイム・ブルー

2人合わせてグラミー賞59度ノミネート、23度受賞というレジェンド同士によるコラボレーション。プロデュースは、ジョンのアルバム『Bigger Love』も一部手掛けていたグレッグ・ワッテンバーグが担当。これまでいくつもの全米1位楽曲を輩出してきた彼ならではのバランス感覚で、両者の魅力を最大限引き出した楽曲に仕上がっている。

楽曲はドリーミーなストリングスとピアノで幕を開ける。その後ノラとジョンが交互にリードを取り、楽曲タイトルでもある「Summertime Blue」をリフレインしながら、「あなたは私の愛を全て奪っていった」、「まだあなたのことを思い続けている」と、暑い夏が来るのにどこか切ない気持ちを軽やかに歌い上げている。ノラのピアノ、ジョンのソウルフルなヴォーカル、そしてレイドバックしたミドル・テンポのサウンドが心地よい、この夏大注目の1曲だ。

■サマラ・ジョイ / Flor de Lis (Upside Down)

第65回グラミー賞にて最優秀新人賞を獲得し、一躍時の人となり、その後も毎年グラミー賞を受賞、ジャズに新風を吹き込み続けるサマラ・ジョイ(Samara Joy)による新曲。昨年リリースしたアルバム『ポートレイト』のレコーディング中に収録されたこの曲は、約50年前にブラジルの有名なミュージシャン、ジャヴァンによって作曲された。サマラのバンドのドラマー、エヴァン・シャーマンがアレンジを手掛け、ブラジルのジャズへの永続的な影響に敬意を表したものとなっている。ジャケットにはブラジルのイラストレーター、アンナ・クーニャの絵が描かれている。

サマラはこの曲について、「胸が張り裂けるような物語ですが、詩的な歌詞と美しいメロディーは、私の心をすぐに響かせました。1年以上前に初めてリオを訪れた際、この曲を歌う機会があって、オーディエンスがハーモニーを奏でるのを聞いて、この曲がブラジルの音楽と文化にとって、いかに大切なものであるかを改めて実感しました。ドラマーのエヴァン・シャーマンによる新アレンジと、ブラジルのイラストレーター、アンナ・クーニャによる美しい絵をジャケットに使用したこの曲は、ブラジル音楽が私たちの芸術性に与えた影響、そして世界に今も与え続けている影響への感謝の気持ちを表したいと思っています」と語っている。

■ジョン・バティステ / ビッグ・マネー

8月22日リリース予定のニュー・アルバム『ビッグ・マネー』からのタイトル曲。ライマン・オーディトリアムでの公演後に着想を得てギターで書き下ろされたもので、資本主義社会への問いかけと人生の価値を描いた、キャッチーなアンセムとなっている。この曲について、ジョンは「これは愛のサーカス。僕たちのテントの中には、再生と喜びがある」と語っている。ニューオーリンズにルーツを持つジョンが、ゴスペルやソウル、ブルース、レゲエなど多様な音楽を融合し、ジャンルを超えた“ニュー・アメリカーナ”の姿を描き出した注目の仕上がりだ。

アルバムは長年のコラボレーターであるNo IDとの共同プロデュース。ランディ・ニューマンやアンドラ・デイなどのゲスト陣も参加し、レコーディングはわずか2週間、ライブ録音を中心に進められた。リアルタイムの演奏から生まれる“不完全さ”も作品の魂としてそのまま収められている。

■aron! / table for two

21歳の若さでで名門ヴァーヴからデビューしたシンガー・ソングライター、aron!(読み:アロン)によるさわやかな1曲。ノースカロライナ芸術大学でクラシックの作曲を学び、ショパン、ラヴェル、バッハへの理解を深めた彼は、コロナ禍はピアノに専念してマイアミ大学で全額奨学金を取得。ジャズ・ヴォイスと映画音楽を専攻する傍らインディー・ポップ・バンド「Sunny Side Up!」でライヴ演奏の腕を磨いた。2023年以降SNS上で多くの支持を集め、7月にはプロモーション来日を果たすなど今や日本でも注目の存在だ。

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