CHIHIRO YAMANAKA Ooh-La-La
Available to purchase from our US store.この2025年、ピアニストの山中千尋はメジャー・デビュー20周年を迎えた。そして9月に『Best 2005 – 2025』、10月に『Ooh-La-La』を連続発表、さらに11月からレコーディング・メンバー(ヨシ・ワキb、ジョン・デイヴィスds)による国内ツアーを行う。この20年間で変わったことと変わらないこと、ベスト盤の選曲コンセプト、ニュー・アルバムへの意気込みについて話をうかがった。
「メジャー・デビュー20周年を迎えることができました。お客様、そして支えてくださった皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。この20年、ジャズ界は本当に変化したと思います。変わっていくことがジャズの運命だと私は思っていますが、本当にいろんなジャズが出てきて、どんどん新陳代謝を続けています。さまざまなスタイルの演奏家が、新しいストレート・アヘッドとして出てきますので、学ぶことがいっぱいですね。もうちょっと時間を取って、刺激的な現在のジャズシーンをキャッチして精進していきたいですね。ただ、アレンジに遊び心を加えてみたり、自分の好きな表現、トリオでの活動は変わらず継続していきたいと思っています。」
カテゴリーの異なるミュージシャンとのコラボレーションも良い刺激になっているという。
「村治佳織さん、Reiさん、Shihoさんといった皆さんと楽しくコラボレーションしています。皆さん、それぞれ素晴らしいアーティストですので、一緒に音楽を作ることは本当に勉強になります。最大限がんばっていきたいです。健康法に関しては・・・オリンピックのトレーナーのもとで体力づくりをして、食事にも気をつけています。ほか、大切なのは“心の栄養”だと思います。いろんな本を読んだり、人に会ったり、いろんな出会いで元気を保っている感じです。」
ベスト盤のリリースは、『Best 2005 – 2015』に続いて10年ぶり二度目。そちらは1枚目がアレンジ編、二枚目がオリジナル編に分かれていたが、今回の『Best 2005 – 2025』はどのようなコンセプトで選曲されたのだろう。
「本当にたくさんアルバムを出させていただきましたから、1つのアルバムから多くの曲が入らないように、バランスを考えてコンパイルしました。ライヴで必ず演奏する「八木節」は入っていますが、ほかはヘビロテにはなっていないであろう、ちょっと地味目な曲、もしかしたら気に入っていただけるのではないかという曲が多いと思います。1曲目を「Maple Leaf Lag」に決めて、あとは聴いたときの流れを重視しました。お客様にもシャッフルで聴く方はいらっしゃると思いますが、できれば、CDの曲順で一度聴いていただけたらと思います。新鮮な気分で、オリジナル・アルバムのように楽しんでいただけたらと嬉しいですね。」
メジャー第1弾『Outside By The Swing』からの楽曲も収められている。選曲のために、初期の演奏を久しぶりに聴いたという。
「“若い”というか、あれもこれもいっぱい弾きたいことがあって、一生懸命背伸びして、おしゃべりな演奏で・・・・。無駄な音もたくさん多いかもしれないけど。でもそれは私の若い時の記録ですので、面白いなと思って聴きました。」
『Best 2005 – 2025』にはまた、ニュー・レコーディングが2曲収められている。
「ベースのヨシ・ワキさんとはデュオのレコーディングを一度もしたことがなかったんです。なので、せっかくだからふたりで演奏してみようということですね。デュオで録音するのは貴重な機会ですが、とても難しいなと思いました。」
そしてニュー・アルバムは『Ooh-La-La』と名付けられた。“なんて素敵なことでしょう”という意味だ。そして自作の「Piyo The Little Bird」では、初めて弾き語りも聴かせている。
「今年の初めにインスタライブで歌ってみたところ、結構な方が見てくださって、「ぜひアルバムに入れてほしい」と言われまして、それで今回収録しました。意外だったのは、「“みんなのうた”の曲みたい」という声があったこと。ニューヨークの辛口のエンジニアも気に入ってくれて、「アニメの歌っぽいね」と。私の声がアニメ的なのでしょうか(笑)。2番もありますが、あんまり長く入れるのもどうかなと思って、アルバムには1番だけを収録しました。」
ゲスト・ミュージシャンはなく、ヨシ・ワキ、ジョン・デイヴィスとの“ニューヨーク・トリオ”による演奏を満喫することができる。
「ジョンとヨシの音を聴くと「自分の場所に来たな」という安心感がありますね。ダイナミックなところと繊細なところをあわせ持っていて、何も言わなくても、こちらの考えていることを一瞬で掴んでくれます。ジョンは西海岸に引っ越してしまったのでリハーサルも少ないですし、私にはスタジオで急に「ここをこう変えよう」と考えることもあるのですが、それにも適応してくれますし、ステージで演奏するのが本当に楽しいですね。」
アルバムの約半数がブラジル音楽からのレパートリーであることも話題を呼ぶことだろう。
「ブラジル音楽は、各地にいろんなリズムがあるんです。はじけるような数々のリズムに郷愁を誘うようなメロディーが乗っていて、その美しさというか組み合わせの妙に強く惹かれますね。「Curumim」は村治佳織さんと共演したときに、彼女が持ってきてくれた曲なんです。すごくいい曲だと思いましたし、レコーディングに持っていったらヨシも「これが良い曲だ」と。「The Girl From Ipanema」に関しては、テンポは以前のものよりゆっくりしていますが(2001年のアルバム『Living Without Friday』収録ヴァージョンに対して)、ドラムのアレンジを変えることで逆に疾走感が出ていると思います。「Tristeza」も日本の方にとても人気がありますね。ライヴで演奏したらとても盛り上がって、お客様が輪になって踊ってくれたことがあります。」
J-POPのマエストロ、筒美京平が書いた「スニーカーぶる〜す」も無論”山中千尋流のジャズ”になっている。
「若いジャズ・ミュージシャンはけっこうJ-POPを演奏していると思いますが、私はちょっとリスキーなタイプの曲を選んできたかもしれません。この曲に関しては“ちょっとしっとりした雨が降っている”イメージ。キーボードでソロをとって、サビには行かない。その代わり、一つの箇所をループで繰り返しています。楽曲をカヴァーする時、その全部を演奏する必要はないと私は思っています。自分が作りたい世界観の中に、そのパートが必要なのかどうかを大切に考えています。」
10月31日の『Ooh-La-La』リリースを受けて、ニューヨーク・トリオの全国ツアーも始まる。
「皆様への感謝の気持ちを込めて、レギュラーのトリオで思い切りはじけたいと思います。ご来場、お待ちしております。」
■山中千尋 プロフィール
ニューヨークを拠点に世界で活躍する女性ジャズ・ピアニスト。ダイナミズムと超絶技巧、ジャズの伝統と斬新なアレンジを併せ持ち、初の日本女性ジャズ・ピアニストとしてデッカレーベルと契約し全米デビュー。
世界の主なジャズ・フェスティバルや、カーネギー・ホール、ケネディー・センター、リンカーン・センターなどにも出演。米ダウンビート紙、英ガーディアン紙でも絶賛を受ける。NHK交響楽団、群馬交響楽団、東京都交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団との共演も多数。
25年6月には中国・上海、北京での公演を実施。7月の名門ジャズ・クラブ、ロンドン・ロニー・スコットでの公演はソールド・アウトの人気だった。
第23回日本ゴールドディスク大賞、スイングジャーナル誌ジャズディスク大賞、NISSAN PRESENTS JAZZ JAPAN AWARDなど権威ある賞を多数受賞。
■ニュー・アルバム『Ooh-La-La』リリース情報
山中千尋 ニュー・アルバム『Ooh-La-La』
2025年10月31日発売
【通常盤】UCCJ-2251 SHM-CD ¥3,520(税込)
【限定盤】UCCJ-9256 UHQ-CD ¥4,400(税込)
CHIHIRO YAMANAKA Ooh-La-La
Available to purchase from our US store.収録内容:
01. Curumim (César Camargo Mariano)
02. Desafinado (Antônio Carlos Jobim)
03. You Are The Sunshine Of My Life (Stevie Wonder)
04. Vera Cruz (Milton Nascimento)
05. Marionette (Lars Jansson)
06. The Girl From Ipanema (Antônio Carlos Jobim)
07. Piyo The Little Bird (Chihiro Yamanaka)
08. Sneakers Blues (Kyohei Tsutsumi)
09. Tristeza (Haroldo Lobo)
パーソネル:
Chihiro Yamanaka: Piano, Keyboards, Vocal
Yoshi Waki: Bass
John Davis: Drums
プロデュース:山中千尋
マスタリング:グレッグ・カルビ / スティーヴ・ファローン
■発売記念イベント情報
山中千尋『Ooh-La-La』発売記念インストア・ライヴ&サイン会
2026年1月29日(木)18:00スタート
入場無料
会場:ディスクユニオンJazzTOKYO
出演:山中千尋(p)
詳細:https://diskunion-jazztokyo.blog.jp/archives/29791012.html
■購入者特典情報
▼ニュー・アルバム『Ooh-La-La』
・全国主要CDショップ(共通特典):オリジナル・ポストカード(White)
・アマゾン:メガジャケ
・UNIVERSAL MUSIC STORE:
【限定盤】直筆サイン入りポストカード(サイズ:120x120mm)※ジャケ絵柄
※そのままCDケースに入れて、お楽しみいただけます。
【通常盤】オリジナル・ポストカード(Red)
▼アンコールプレス
・全国主要CDショップ及びオンライン:クリアファイル
※特典は数に限りがあり、無くなり次第終了となります。
※一部対象外の店舗もございます。購入前に店舗にてお尋ねください。
■ニュー・アルバム『Ooh-La-La』発売記念 山中千尋 ニューヨーク・トリオ・ツアー2025
11月2日(日)、3日(月・祝) 東京・ブルーノート東京
11月4日(火) 京都・ボンズロザリー
11月5日(水) 富山・オーバード・ホール 中ホール
山中千尋(p)
Yoshi Waki(b)
John Davis(ds)
■山中千尋 メジャー・デビュー20周年記念 アンコールプレス作品一覧
『Outside by the Swing』 / UCCJ-2040
『Running Wild』 / UCCJ-2077
『Forever Begins』 / UCCJ-2083
『Reminiscence』 / UCCJ-2090
『Still Working』 / UCCJ-2096
『Lach Doch Mal』 / UCCJ-2098
『Abyss』 / UCCJ-2099
『After Hours』 / UCCJ-2100
『Bravogue』 / UCCJ-2101
『Because』 / UCCJ-2102
『After Hours 2』 / UCCJ-2109
『Molto Cantabile』 / UCCJ-2111
『Utopia』 / UCCJ-2157
『Somethin’ Blue』 / UCCQ-1016
『Syncopation Hazard』 / UCCQ-1043
『Live in Osaka!!』 / UCCQ-1050
『Guilty Pleasure』 / UCCQ-1064
『Monk Studies』 / UCCQ-1070
ヘッダー画像 : Photo © Keita Haginiwa
